何はさておき、きれいな靴と靴下を。
「あなたが持っているいちばんいい靴と、新しい靴下を履いて来なさい。もしなければ買いなさい」――。花柳界に40余年通い続けているある旦那衆は、お座敷遊びの初心者に心得を尋ねられると、まずこう答えるのだそうです。
料亭に行くとき、最も気を遣わなければならないのは足もと。なぜなら、言うまでもなく、料亭のお座敷は「靴を脱いで上がる世界」だからです。
玄関では下足番の方が私たちを迎え、私たちが脱いだ靴を下駄箱にしまってくれます。そのとき、汚れた靴では相手に申し訳ないし、くたびれた靴では自分が恥ずかしい。
いい靴ときれいな靴下(ストッキング)を履けば、それに合う洋服も自ずときちんとしたものになるはず。「マナーとコツ②」でも述べた、「相手も自分も心地よく」の基本は、身支度をして、靴を履いて自宅を出るときから始まっています。
畳の上を歩くのですから、素足(裸足)は絶対に避けなければなりません。たとえ真夏のどんなに暑い時でも、お座敷遊びに靴下(ストッキング)着用は最低限の礼儀です。
浴衣の場合も、お座敷に上がるときは必ず足袋を履くようにしましょう。
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