<フィクション>『幻の柳橋』【3章】川と芸者と柳橋。②

柳橋【3】―②

柳橋花柳界の発生は江戸時代中期といわれる。隅田川は当時、大川と呼ばれており、舟遊びは江戸時代初期からすでに盛んで、川沿いの水茶屋が行楽客の休憩所としてにぎわっていた。大川は、春の花見、夏の納涼、秋の月見、冬の雪景色と、一年をとおして人々を飽きさせることはなかった。

川の存在を基盤として、柳橋が一流の花柳界として発展を遂げるきっかけとなった江戸時代の出来事を三つ挙げることができる。 続きを読む <フィクション>『幻の柳橋』【3章】川と芸者と柳橋。②