<花柳界入門>マナーとコツ⑦芸者衆にも「どうぞ」とお酌を

「お姐さんもいかがですか」のひと言を

半玉さん用の小さなお猪口(手前の3つ。小樽・海陽亭)
半玉さん用の小さなお猪口(手前の3つ。小樽・海陽亭)

さまざまな技を駆使し、お座敷をその場に相応しく盛り上げるのが芸者衆の仕事ですが、「お酌」は、踊りや会話と同様、大事なもてなしの手段の一つです。初対面のお客さんと打ち解けるのも、会話の糸口を摑むのも、堅苦しい雰囲気を和らげるのも、まずはタイミングのよいお酌から。まさに芸者衆はお酌のプロといえます。

ベテランの芸者衆は、お銚子を持ちあげたときの重さであとどのくらいお酒が残っているかを正確に把握するといいます。「ごめんなさい、8分目しかないわ」と言いながら注ぐとお猪口にぴったり8分目。「あと2杯分ね」と言うと、ぴったり2杯分。数えきれないほどの回数、お酌をし続けて来た経験から「このお銚子でこの重さなら、お酒の量はこれくらい」と感覚で染みついているのでしょう。残りを確かめようと上から覗いたり、お銚子を振ったりするのは行儀が悪いと先輩から止められたそうです。 続きを読む <花柳界入門>マナーとコツ⑦芸者衆にも「どうぞ」とお酌を