*芸者・りんものがたり②より続く
X花街の存在は、すぐ近くに有名な花街があるためだろうか、昔からあまり知られていなかった。大正から昭和にかけての全盛期でも「芸妓置屋19軒、芸妓135名」と比較的小規模な花街なのである。しかし2.3分も歩けば回りきれてしまうほどの小さな一画にそれだけの人数の芸者がいたことを想うと、狭さが逆に密度の濃さと活気を想像させる。
昭和40年代半ば以降、芸者の高齢化と減少が一気に進む。昭和62年に置屋5軒、芸妓30人。平成26年に置屋2軒、芸妓3,4人。花街としての活気は失われて久しいが、実はX花街ほど昔の町並を失わずに残している街は全国でも珍しい。明治・大正時代に建てられた町屋が、置屋や料亭をとうの昔に廃業しても外観をほぼそのまま残して静かに並んでいるのである。 続きを読む <西日本・X花街> 芸者・りんものがたり➂ 「おいしいご飯を食べさせてもらえるで」