*芸者・りんものがたり➅より続く
●両親の命日には、お参りを欠かさなかった
りんは親への非難めいたことを一切口にしなかった。長い年月の間に風化してしまったのか、もともとあまり感じなかったのか――。親を恨んだか、と聞いてみた。
りんは少し考えてから、「……そやな……恨みもしたけどな……。お父さんは死に際に、お前にはずいぶん可哀想な目にさせたな、と言って謝ったよ」とだけ言った。そして、両親の命日にはお参りを欠かさずに生きて来たことを、当たり前のこととして話した。 続きを読む <西日本・X花街> 芸者・りんものがたり➆ 「恨みもしたけどな、お参りは欠かさなかった」