<新潟・古町> 「新潟をどり」開催(6/21)と、社員芸妓「柳都さん」のこと。

日本初の「社員芸妓」を定着させた花柳界。「お姐さん芸妓」との融和が見もの

新潟をどり チラシ

●振袖さん、留袖さんが、お姐さん芸妓と共に

新潟(市)の花柳界は、町の名前をとって昔から「古町(ふるまち)」と呼ばれています。私が全国の中でも総合力の高さで注目している花柳界の一つで、20年ほど前から度々取材その他で訪れてきました。

古町の最大の注目ポイントは、日本で初めて〝社員芸妓〟を誕生させ、定着させた花柳界だ、ということです。今から28年前、1987年(昭和62年)に株式会社形式の置屋「柳都振興株式会社」を設立。「柳都(りゅうと)さん」と呼ばれる社員芸妓10名が1期生としてお披露目をしました。

「柳都さん」は現在12名。「振袖さん」(18歳以上の若手。着物は振袖)と、「留袖さん」(振袖さんを務め上げた一人前の芸妓。着物は留袖の引き着)の二段階があります。

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柳都さんたちは、「お姐さん芸妓」(昔ながらの置屋制度で育ったベテラン芸妓)と同じ組合(新潟三業協同組合)に所属。市山流日本舞踊のほか三味線、唄、鳴り物などもお稽古していますが、お座敷やイベントなどでは、主にお姐さん芸妓が地方(じかた=三味線・唄などの演奏担当)、柳都さんが立方(たちかた=踊り担当)と役割分担をしながら座を盛り上げています。

(*柳都振興株式会社設立のいきさつや現状については、また詳しく取り上げたいと思います。)

●新潟といえば……やっぱり見たい『相川音頭』

新潟をどり チラシ裏さて、「お姐さん芸妓+柳都さん=古町芸妓総出演」の「第27回 ふるまち新潟をどり」が6月21日に開催されます。(*詳細は左画像をクリック)

プログラムの最後の演目『相川音頭』についてひと言。

義経が佐渡に流された伝説を元にした民謡『相川音頭』に、日本舞踊市山流・六世市山七十郎が昭和35年に振付をした勇壮な3人1組の男踊りです。

平成8年に初めて新潟・古町を取材したとき、料亭「小三」社長(当時)の故・小山政五郎氏に「お座敷で『相川音頭』を出すとお客さんが大喜びをする。それは見事な踊りだ」と聞いて以来、一度見たいと思っていました。

古町芸妓(お姐さん芸妓)に日本舞踊を指導しているのは市山流と藤間流の二流派の師匠ですが、『相川音頭』を踊るのは市山流の芸妓に限定されています。踊り手が減り、後継者が待たれていた中、一昨年(第25回)の「新潟をどり」で、初めて三人の柳都さんが挑戦。見事に踊り切ったのがとても印象的でした。

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