<新潟・古町>行ってきました「新潟をどり」②。お茶と食の楽しみ (2015/6/21)

江戸千家によるお点前と「特製ふるまち花街弁当」

新潟をどり お弁当

●ロビーでお茶席。今年初めての企画が実現

芸者衆の必須ともいえるお稽古の一つに茶道があります。礼儀作法の基本や美しい立ち居振る舞いを身につけるだけでなく、茶の精神を通した「心の修業」の意味合いもあるのでしょう。京都・祇園甲部の「都をどり」や東京・新橋の「東をどり」をはじめ、花街舞踊の会場に芸舞妓・芸者衆によるお点前のお茶席が設けられている光景はよく見かけます。

6月21日(日)に開催された「ふるまち新潟をどり」(以下「新潟をどり」。主催/公益財団法人新潟市芸術文化振興財団 BSN新潟放送。協賛/新潟三業協同組合、新潟芸妓置屋組合、柳都振興㈱。協力/古町花街の会。後援/新潟市)でも、今年初めて、ロビーにお茶席が登場しました。……といってもお茶を点てるのは芸者衆ではなく、芸者衆が日頃お稽古をしている江戸千家のボランティアの方々。お客さんには、「花街とをどり、をどりとお茶、江戸千家について」などの簡単な用語解説を載せた「呈茶のしおり」も配られ、「来場者のみなさんに貴重な日本文化に親しんでいただきたい」との主催者側の思いがよく伝わってきました。(菓子つき一服500円)。

新潟をどり お茶席野点傘にお茶花、金屏風に武者小路実篤の色紙――ロビーの一角に設えたお茶席はすぐに埋まり、用意した100+追加の約20が完売したとのこと。予想以上の盛況に、関係者の方々も「新しいことを一つ始めるのがこれほど大変だとは思わなかったけれど、苦労した甲斐がありました!」と満足気な表情を浮かべていました。

●老舗料亭の特製弁当を、古町芸妓のおもてなしつきで

特製ふるまち花街弁当献立2部終了後には、会場「りゅーとぴあ」5階の能楽堂楽屋(茶室)で、新潟の名料亭が腕を振るった「特製ふるまち花街弁当」のお楽しみがあります(税込4500円)。

小三 特製弁当松花堂弁当の中身は行形亭(いきなりや)と小三(こさん)が同じ献立で各々の持ち味を生かした料理(どちらに当たるかは蓋を開けてみてのお楽しみ。ちなみに私は小三のお弁当でした)、お吸い物は鍋茶屋の担当。古町を代表する三料亭の味を結集させた、年に一度この場でしか味わえない特製弁当です。舞台を終えた直後の芸者衆数人や料亭のご主人も席に入って、話の相手をしてくれるのが何ともうれしいところ。

踊りを観賞(S席5000円)+合間にお茶を一服(500円)+芸者衆のおもてなしつき老舗料亭の特製弁当(4500円)=ちょうど1万円――。これはもう、〝生きた御足(おあし)の使い方〟といってよいのではないでしょうか。

*来年の「第28回 ふるまち新潟をどり」は2016年6月26日(日)の開催予定とのことです。

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