渋谷・円山町に唯一残る料亭「三長」の本、発行

『渋谷円山町に生きる 料亭三長』表紙

●昭和26年当時の貴重な建物を維持

渋谷・円山町の一画に、まるでそこだけタイムスリップしたような料亭が1軒だけ残っているのをご存じでしょうか。その名は「三長」(さんちょう)。昭和26年に初代の高橋三枝さんが建てて開業した料亭で、現在は三代目の高橋千善さんが継ぎ、営業を続けています。

三長の開業当初は100軒以上の料亭と約300名の芸者衆でにぎわった円山町花街も、昭和40年代後半から料亭の廃業が相次ぎ、今では料亭・三長と4人の芸者衆が花街文化を守り続けています。

●建物の中に太鼓橋があり、土蔵の意匠も

2024年3月、三長はその建築的価値や歴史、円山町花街の成立、高橋家の歴史、現代における料亭の活用方法などに広く言及した1冊の本『渋谷円山町に生きる 料亭三長』を制作、発行しました。

三長の建物は「戦後の物のない時代に、どうやってあれだけの材料を到達したのだろう。お金のない時代に、どうやって大工さん、左官屋さん、瓦屋さんにあれだけの仕事を依頼できたのだろう」と当主でさえ不思議に思うほど、料亭建築の粋の結集ともいえる貴重な建物です。

建物の中に太鼓橋があり、土蔵があり、軒があり。部屋ごとに異なる意匠の天井、障子戸、床の間の意匠。中庭には池があり鯉が泳ぐ。建築に詳しくない者でも貴重な建築であることは一目瞭然です。

●テナントにお蕎麦屋さん、割烹、バーも

当主は現代に料亭を維持するために、テナント方式を採用しました。2階の大広間は芸者衆の入る「料亭三長」とし、その他のスペースに割烹三長、わだつみ(そばかっぽう)、Bar Nightsの3つの店舗が入っています。3つともできる限り昔の内装や意匠を残しており、一般の人も入りやすい店で料理やお酒とともに昔の料亭建築を楽しむことができます。

『渋谷円山町に生きる 料亭三長』定価本体5,000円+税 監修/鳥越けい子 発行所/料亭三長(有限会社寿)196ページ

本書に関する問い合わせ・販売についての連絡先 ☎03-3461-5766 Eメール/chiyoshi@tkd.att.ne.jp  担当/高橋千善