花柳界の辞書に、「おばさん」と「おばあさん」は無い!
芸者衆の名前(芸名)がわからないときや、会話の中でさらりと呼びたいときは、迷わず「お姐さん」(おねえさん)。たとえ自分の母親や祖母と同年代か、明らかに年上に見えても、決して「おばさん」「おばあさん」と呼んではいけません。
これは全国すべての花柳界に共通の約束事。芸者衆は日々芸事に精進し、お座敷では芸や会話や気遣いでお客さんを楽しませる〝もてなしのプロ〟として、現役である限り、「老けない。年はとらない」という気概をもって仕事をしています。花柳界の中で「おばさん」「おばあさん」がタブーなのは、芸者衆の心意気の表れだといえるでしょう。
また、「お母さん」もNG。花柳界で「お母さん」といえば、芸者衆が置屋の主人を指して呼ぶ言い方と決まっています。お客さんが芸者衆に対して使う言葉ではありません。