<東京・赤坂> 赤坂芸者・育子さんの「華」② 2007年のインタビューより

赤坂芸者・育子さんの「華」➀より続く

お座敷をパッと明るく華やかに 赤坂芸者、咲き誇る(赤坂芸者・育子さんに聞く)②

*「東京六花街 芸者さんに教わる和の心」浅原須美著 2007年ダイヤモンド社発行 より(抜粋。一部修正)
「東京六花街」38~39ページ(赤坂芸者の伝統芸。片肌脱ぎの「奴さんかっぽれ」)

●赤坂はおっちょこちょいの妹。花で言えば、牡丹

かつて、赤坂をどりは4月末から5月初めにかけて、新橋の「東をどり」は5月末(昭和54年以前は4月前半)。春には、東京を代表する二花街の舞踊公演が続けて開催されていた。お客さんも「赤坂が終わったら次は新橋」と両方に足を運ぶことが多かったなか、お互いを意識することはあったのだろうか。

(育子)そうですね、私は、新橋さんとは姉妹花柳界のように感じていました。芸者衆同士で交流もありますし、お互いの会を見に行って「あの出し物はよかったわね」「次はそちらね。がんばってね」と声をかけあったり、赤坂をどりをしばらく休演していたあいだは、新橋の芸者衆が「再開できるといいわね。私たちも応援するわよ」と言ってくださいました。

ですから、ライバル的な意識ではなくて、お互いの良さを認めてエールを送り合うような、やはり姉妹関係という言い方がいちばんぴったりだと思いますね。

新橋さんとの違いですか?

着物の色目や柄、帯の結び方や着方が違います。地味派手で言ったら、新橋さんが地味で赤坂が派手。性格的に言えば、新橋さんが落ち着いた姉で、赤坂はおっちょこちょいな妹みたいな感じかしら(笑)。

「新橋色」ってありますね。緑がかった青のような。それに対して「赤坂色」があるとしたら、やっぱり明るい色でしょうね。花で言えば……そう、牡丹っていうのは合っているわね。

赤坂芸者・育子さんの「華」➂に続く