東をどり百回記念公演
*当日券は25日(日)と最終日27日(火)は残りわずかとのことですが、それ以外はまだ余裕ありとのことでした(5月22日昼現在の情報。詳細はご確認ください)
●3日目は名古屋・岐阜・祇園東
1幕目は新橋芸者がご祝儀曲の「青海波」と「百年三番叟」を日替わりで披露し、華やかに百回記念公演の幕開けを祝う。きりっとして爽やかな「青海波」と、きらびやかで豪華な「百年三番叟」、どちらも新橋芸者の格の高さを満喫できる演目だ。
2幕目は名古屋・岐阜・祇園東がそれぞれの土地ならではの曲で客席を沸かせた。
名古屋は「名古屋甚句」。中でも会場がどよめいたのは、桃太郎さんの「勝名(かちな)のり」。今春、奈良で開催された「はなあかり」で私は桃太郎さんの踊りを初めて拝見し、その日の大宴席(@菊水楼)で初めてお話をした。場をぱっと明るく和ませる力のある芸者さんで、力士の土俵入りを表現した「勝名のり」が十八番だと聞き、ぜひ一度拝見してみたいと思っていたのだが、まさか東をどりの舞台で叶うとは! 個性的で、やや滑稽な、笑いを誘う踊りができるのは芸達者だからこそ。桃太郎さん、大いに楽しませていただきました。
美人揃いの岐阜は長良川の鵜飼いを唄った「鵜飼舟」。そして岐阜の名所や行事を歌詞に織り込んだ「さわぎ」でにぎやかに。「さわぎ」は吉原発祥の花柳界定番曲だが、土地による歌詞の違いに注目してみると面白い。
祇園東は5人の舞妓と4人の芸妓が登場。舞妓さんが舞台に登場するだけで舞台が百倍華やかになりわーっと歓声が上がる。舞妓の姿かたち、存在そのものが宝石のように思えた。
●3幕目「お好み新橋」のテーマは「橋」
新橋で始まり、各地の花柳界を挟み、新橋で締める東をどり。3幕目は恒例の「お好み」。様々なジャンルの踊りをメドレー形式でつないでいく人気の出し物だ。今回のテーマは「橋」。新橋に架かる大小さまざまな橋を芸者衆が行き来するのは日常の風景。趣の異なる芸を繰り広げながら、それらの橋を渡り、百回目のフィナーレへつなぎ、百一回目に橋渡しをする意味が込められているという。
回転によって見え方が異なる橋の舞台装置が素晴らしい。
演目は同じだが日によって2~3組の配役が担当。今日で3回目だが何度見ても、心が躍る。当たり前だが、〝やっぱり主役は新橋〟。その圧倒的な存在感とエンターテインメント性に大きな拍手を送った。
東銀座駅へ向かう帰り道、思わず「~てなことおっしゃいましたかね~」と口ずさんでいた。加津代さんが踊った「東雲節」の一節だった。