●ついに幕があいた東をどり100回記念公演
「無事開幕できて本当によかった」……こんな挨拶があちらこちらで交わされている。新橋花柳界にとって百年に1回の特別な東をどりがついに開幕した。
初日の昼の部、12時過ぎ、演舞場前に着くと黒山の人だかり。いつもにまして関心度の高さがうかがわれる。
百回記念の特別バージョンで、公演は7日間、全3幕構成のうち第1幕と3幕は新橋、間の2幕では日替わりで招く全国19花街の芸者衆が舞台に上がる。東をどりの舞台に新橋以外の芸者衆が立つのは、大正14年に新橋演舞場の杮落しで第1回を開催して以来、初めての試みだ。
第1幕は、ご祝儀の代表曲 清元「青海波」(西川左近振付)でめでたく開いた。新橋芸者らしく、爽やかできりっとした明るい舞台に、「そうそう、これが東をどり!」とわくわく感が高まる。
●初日は、京都・祇園甲部と東京・赤坂
第二幕、最初の登場は祇園甲部の「石橋」。3人の芸妓と3人の舞妓の所作が見事に揃い、扇の投げ渡しも完璧。東をどりの舞台に立つ意気込みを感じた。
次は、赤坂の登場。雰囲気はガラリと変わり、「江戸の祭」を赤坂芸者らしい華やかさで踊る。日本を代表する芸妓・育子さんの登場に、演舞場全体が育子ワールドに。さすがの存在感だった。
新橋芸者以外の芸者衆が東をどりの舞台に立つのを見ると、いい意味での違和感があり、それが高揚感につながるような気がする。新橋芸者も、異なる花街の存在が大きな刺激となって闘志が燃えているような気がした。1+1が2ではない相乗効果、というものだろうか。
3幕目については追々。
●幕間のお楽しみも
幕間のロビーは酒と食とお土産のお楽しみに溢れている。幕前に銘酒売り場で〆張鶴、幕間に八海山を客席に持ち込んで3幕を観賞。桝(500円)を購入すれば、次から酒代(500円)のみでお替りができる(桝は7日間使える)。ロビーで購入した飲み物や食べ物を客席に持ち込めるのもうれしいシステムだ。