<北海道・小樽> 小樽最後の芸者・喜久さんを想う➂。「海陽亭」に刻まれた歴史と栄華

喜久さんを想う②より続く

●華やかなりし名料亭――北の迎賓館「海陽亭」

海陽亭玄関(2011年撮影)

喜久さんの昔話に頻繁に登場する料亭が、明治創業の「海陽亭(かいようてい)」だ。小樽港を見下ろす高台に建つ木造二階建ての建物は昭和60年に小樽市の歴史的建造物に指定され、平成27年まで冬場を除き営業を続けた。

小樽の繁栄を象徴する建物であり、明治39年に小樽で行われた日露戦争後の樺太国境画定会議の後、両国の軍人など約60名が集まり大広間で大宴会が開かれるなど、「北の迎賓館」としての役割を果たし続けた。 続きを読む <北海道・小樽> 小樽最後の芸者・喜久さんを想う➂。「海陽亭」に刻まれた歴史と栄華

<北海道・小樽> 小樽最後の芸者・喜久さんを想う②。「北のウォール街」で栄えた花街

喜久さんを想う➀より続く。

●JR函館線ガード下で聞いた、小樽芸者のむかし話

小樽駅全景(2011年撮影)

「おたるむかし茶屋」を初めて訪れたときのことはよく覚えている。平成11年、今のうちに戦前の花柳界を知る高齢芸者の話を聞いておこうと思い立ち、以前から気になっていた喜久さんに会いに就航直後のエアDOで北海道に飛んだ。

三月初めの小樽は、まだ真冬の荒天続き。1メートル先も見えない猛吹雪に遭遇し、私は生まれてはじめて(しかも町なかで)遭難の危険を感じた。 続きを読む <北海道・小樽> 小樽最後の芸者・喜久さんを想う②。「北のウォール街」で栄えた花街